散歩系

昼前に仕事の手を止め家を出て、暖かい日差しの中を散歩する。いつの間にか日中の散歩が週末の習慣になった。ハーフマラソンから6日後の足首はまだ湿布のお世話にならないといけない状態で、歩きすぎは禁物なのだが、暖かな陽気につられ、ついつい遠くまで足が伸びてしまう。散歩は楽しい。散歩好きの人には、独特のにおいがあると思う。小説家とかミュージシャンとかでも、散歩好きの人は嗅ぎ分けられる気がする。ちなみに、ドイツ人は散歩好きという説があるそうだが、僕の友達を見るかぎり、それは本当だ。


今日は初めての道を歩いていたら、ちょっと惹かれる店があったので、お昼ご飯をそこに決める。ちょっと割高に思えるうどんとハーブティーを口にしながら、視線はひたすら、兄から借りたトム・マクナブ著『遥かなるセントラルパーク』(文藝春秋、絶版)に落としたまま。スポーツの名コーチが描いたというこのアメリカ大陸横断ウルトラマラソンの物語の中には、ベテラン選手アレクサンダー・"ドク"・コールやレースお付きの医師ファルコナー博士のセリフを通じ、長距離走の極意が織り込まれていて、興味深い。僕が長距離ランナーに向いてるかどうかはいざ知らず、次々待ち構える困難を、人間力を総動員して乗り越えていくランナーや主催者の姿には、否が応でも胸が熱くなる。
上巻を読み終わって、また散歩を再開する。心の中に、アメリカの山脈や砂漠を進む1000人を超えるランナーとキャラバンの足音と残影が、なんとなく残っている。


246に出て、5月から通うつもりのジャズ教室の前に来て、チラシをもらう。中に先生がいたが、ドラムのレッスン中だったので、話を聴くことはできなかった。50分5,000円のレッスンが月2,3回なら、回数的にも価格的にも無理がないだろう。今日はいい花屋は見つからなかったが、20年以上ぶりにピアノを習うという興奮だけで、散歩の糧は十分。